2017.12.25食生活

給食から考えるクリスマス~松丸奨の「おとなの給食」


クリスマスの給食、みなさんどのような思い出がありますか? 東京都文京区の小学校で栄養士として働いている松丸奨(すすむ)です。給食の献立を作ったり、子どもたちに栄養指導したりしています。

給食の話をしておもしろいのは、地域差や年代差があるからです。給食は、ほとんどの人が経験している共通の話題なので、共通点や違いを見つけては盛り上がります。

 

クリスマス給食のデザートは特別だった思い出

30代の私が小学生のころ、クリスマスの日にはイチゴのショートケーキが出ました。ケーキが出るのがうれしくて、みんなでクリスマスの給食を楽しみにしていました。他の年には、クレープやチョコレートケーキが出て、クリスマスの給食のデザートは特別だったことを思い出します。

メインの献立は、スパゲティ、ピラフで、おかずは骨付き肉などが多く出ました。このように、学期の終わりは、特別なメニューが用意されていて、献立表を見るだけで、ワクワクするようなすてきな給食でした。

では、現役の栄養士になってみて、どのような献立を立てているでしょうか。

続きはdヘルスケアパックに入会後
お楽しみください

もちろん、自分も「ショートケーキを子どもたちに出してあげよう!」と思っていました。実のところ、給食は、学校給食法に基づいた衛生管理基準があり、様々なルールに基づいて調理されています。そのうちの一つに、使用禁止食材というのがあります。文京区では、ホイップ生クリームは、加熱をしていない状態では使えません。食中毒予防の観点から、生で食べる野菜や果物などを除き、一定温度まで加熱した食材、料理しか出すことができないのです。

過去には、クリスマスフルーツポンチや、「焼き菓子」のりんごのチーズケーキなどを作ったことがあります。

クリスマスフルーツポンチ

りんごのチーズケーキ

2学期の「給食最終日」は冬至

さて、2学期の「給食最終日」は、大抵12月22日ごろ。クリスマスの日には、給食は終了していることが多いのです。22日ごろといえば、まさしく「冬至」の時期でもあります。冬至は、二十四節気の一つで、日本には古くからさまざまな風習があります。一方、クリスマスはキリスト教の行事ですが、日本ではすっかり定着した「お祭り」です。個人的には、「冬至」のメニューを大切に考えたいのですが、子どもたちが食べたい給食は、クリスマスのメニューです。

これは悩みどころです。子どもたちがイメージしているような生クリームたっぷりのケーキは出せません。悩み抜いた結果、パンプキンマフィンなどを試作しましたが、献立名が横文字となり、行事の意味を伝えきれないと思い、やめることにしました。

パンプキンマフィン

「クリスマス」と「冬至」のコラボメニュー

そこで、子どもたちにクリスマスの過ごし方を聞いてみました。すると、クリスマスにはほとんどの子がケーキを食べるのです。家に帰ればケーキがある、ならば「給食では、子どもたちに知ってもらいたいこと、学んでもらいたいことを、食べる教材としてふさわしい給食」を目指すべきであると思ったのです。そこでひらめいたのが、冬至もクリスマスも両方学び、味わえる「コラボメニュー」です。

冬至といえば、かぼちゃやゆず湯です。献立として、山梨県の郷土料理「ほうとう」をメインに置き、かぼちゃを多めに入れておいしく食べられるようにしました。副菜のおひたしには、柚子(ゆず)を入れて、さわやかな香りのおひたしを作ります。給食の時間には、「冬至にかぼちゃを食べると風邪をひかない」といわれている話や、冬至に柚子湯に入るのは、「邪気がやってこないようにという願いと、長年の苦労が実を結びますようにという願いが込められている」といった話をします。

かぼちゃを多めのほうとう

では、デザートは何にするか? 栄養価計算をして、焼き菓子のケーキを作ります。仕上げに粉砂糖も振って、ドイツのクリスマス菓子、シュトーレンのような見た目にするのです。カロリーや油分が多過ぎたら、ポンチやゼリーにします。炭酸水を使って、ゼリーに美しい気泡を入れます。クリスマスの楽しみは、デザートに込めます。

しゅわしゅわ炭酸ゼリー

いつのまにか、冬至などの年中行事を自宅で行う家庭が少なくなりました。子どもたちも「冬至? なにそれ?」と知らない子がほとんどです。学校で教えてあげたい、その思いは冬至に限らず、他の年中行事でも同じです。冬至のかぼちゃと柚子を味わいつつ、クリスマスのデザートも楽しみにした給食を考えてみました。

「大人の給食レシピ」向けのクリスマスメニューとしては、体にもよい「りんごのケーキ」と「ゆず和え」のメニューはどうでしょう。

りんごのケーキ

りんごにはカリウムと食物繊維が含まれています。カリウムはむくみに効果があります。りんごにはペクチンも含まれています。ペクチンは腸内の善玉菌を増やして、腸の活発な働きの助けになります。食物繊維とのダブルの効果が期待できますね。混ぜるだけの簡単ケーキです。手作りの味を楽しみましょう。

【材料】(2人分)
りんご       1/8個
薄力粉       25グラム
ベーキングパウダー 2グラム
ヨーグルト     45グラム
砂糖        18グラム
たまご       1個
バニラエッセンス  適量
仕上げ用粉砂糖   適量

≪作り方≫
(1) りんご以外の全ての材料をボウルに入れてよく混ぜて、焼き型かマフィンカップに入れる。

(2) (1)の上にいちょう切りにしたりんごをのせる。

(3) オーブンの予熱を200℃にし、15分焼いて、粗熱がとれたら上から粉砂糖をかけて完成。

ゆず和え

爽やかな香りのするゆず。カリウムとビタミンCが含まれています。ビタミンCは身体の免疫力アップが期待できる栄養素です。ゆずには抗酸化作用もあり、果実部分より、皮により多くの抗酸化作用があります。ゆず湯に入る前に、料理でゆずを堪能しましょう。

【材料】(2人分)
ゆず    1/2個
小松菜   2束
水菜    1束
人参    1/5本
油揚げ   1/2枚
しょうゆ  小さじ2
酒     小さじ2
みりん   小さじ2
砂糖    小さじ2
かつおぶし 大さじ2

≪作り方≫
(1) 小松菜は短冊切り、水菜はざく切り、人参は皮をむいてせん切り、油揚げは短冊切りにする。

(2) 鍋に水を入れて沸騰させ、(1)をゆで、ザルにあげ水で冷やしてよく絞る。

(3) 調味料とかつおぶしを和えて、仕上げにゆずの絞り汁とゆずの皮を刻んだものをかけて完成。

筆者:松丸 奨 / まつまる すすむ

松丸 奨 / まつまる・すすむ

東京・文京区立金富小学校に栄養士として勤務。1983年、千葉県生まれ。華栄養専門学校卒業。第8回全国学校給食甲子園優勝。塩分やカロリーが控えめで、だしや味つけ、彩りにこだわったレシピ作りに励んでいる。著書に、「ママと子の『ごはんの悩み』がなくなる本 体も心も元気にのびのび育つ63の質問」(サンマーク出版 )、「子どもがすくすく育つ 日本一の給食レシピ」(講談社)。

記事提供:ヨミドクター(読売新聞)

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