2017.10.05トレーニング

体を動かす習慣で活発な体と心のリズムを手に入れる!


室伏由佳さんが体育の日に向けて考えた

2004年アテネオリンピック女子ハンマー投げ日本代表の室伏由佳です。中学校の部活動から陸上競技を始め、12年まで24年間もの間アスリートとして過ごしました。体育の日に合わせて、体を動かす習慣や、体と心の健康を得る楽しさについて書きたいと思います。

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運動はどこでもできる! 気軽に「リフレッシュ運動」、始めてみませんか?

運動したりスポーツしたりする習慣がありますか? 最近、体を動かす習慣を持つ方がとても増えていると思います。東京都心を始め各地でランニングブームに火が付き、数年がたちます。

都内では様々な時間帯に、街中やビルが立ち並ぶオフィス街をランニングする人を見かけます。数年前であれば、「こんなところを走るぐらい、ランニングが好きなんだ!」と思っていましたが、今では、「きっと今日決めた運動プログラムをこなしているんだな」というように、私自身の認識も変化しました。

どんなときも、自分にマッチした運動スタイルを持つことが、継続につながるベストな方法だと感じます。運動を実践するメリットは、基礎代謝が上がる、血流がよくなることなどが挙げられます。身体的にリフレッシュするだけでなく、心の健康を整えるきっかけにもなり、ポジティブな心のリズムが生まれることが期待できます。

大嫌い!だったマラソン大会や持久走のイヤな思い出

実は私、長距離走が大の苦手でした。小・中・高校のマラソン大会はほぼ最下位。走り続けるのがとてもつらかったです。運動部の人に合わせると、私にはそのペースが速すぎて付いていけません。「もう限界!」と、歩いてしまうことばかりでした。「室伏! 何やってるんだ~! ちゃんと走れ~!!」。よく先生に怒られました……(笑)。「運動部に入っているのだから、これくらいは走れ」というポジティブな意味でのお叱(しか)りでした。

中学時代、私は短距離走の選手でしたが、短距離走、長距離走とも練習し、とにかくよく走りました。設定したタイムをクリアできるように繰り返し走り、競技力を高めるのですが、元来、持久力がない私は、設定タイムをだいたい下回り、長距離走が嫌いになってしまいました。10代の頃はそんな調子でした。その後投てき選手として、ハンマー(女子4キログラム)や円盤(女子1キログラム)を投げたり、重りを持ち上げるウェートトレーニングなどをしていました。

引退した12年からは「健康のために」と思い立ち、ランニングを開始。歩くより少し速いペースで、まずはゆっくり、マイペースで走り始めました。引退の頃、ピラティスの指導者資格を取得し、ランニングとピラティスのエクササイズを合わせて毎日実践しました。半年ほど続けているあいだに、徐々に走れる距離が伸びていきました。2、3キロを走るのがやっとだった私が、なんと10キロ走や60分間走ができるまでになりました。

CS放送「GAORA SPORTS」のランニング番組で、沖縄県の小浜島を走る室伏さん(2014年3月) 

その運動に特化した筋肉を鍛えていくと、それに見合った筋力や体力が身につくのだと、改めて実感しました。現在は仕事で外出や出張も多く、できる時にランニングをしています。だいたい3、4キロの距離を1キロ7分前後のペースで、20~30分走ります。時間帯は、夕食前に走る「夜ラン」をすることが多いです。体重計にも必ず乗り、ウェーイトコントロールにも心がけています。毎日欠かさず体重計に乗る習慣にしないと、体重が増えているかもしれないと思って、乗るのをためらってしまいますからね(笑)。

最近、ランニングの記録を残せるスマホのアプリもたくさんありますね。私もアプリを活用して記録を残しています。走行時間やペース、走行した場所が地図で記録されるなど、色々な履歴が残るので便利ですし、次へのモチベーションにもつながります。

運動の種類や育てる筋肉のタイプを知ってみよう

最近ではトレーニングの方法論を学ばれる方も増えていると思います。筋肉には、速い動きに対応する「速筋繊維」と、遅い動きに対応する「遅筋繊維」があります。どちらを鍛えたいかで、運動の方法は異なります。

スポーツを実践する場合、その競技に特化した筋力を鍛えていくことが、競技力向上につながります。投てき競技では、ハンマーや円盤をできるだけ遠くに投げるスポーツなので、一瞬で大きな力を発揮できるように、速筋を鍛えて瞬発力を高めるトレーニングが中心でした。速筋の働きを優位にして、大きな力(筋力とスピードをかけ合わせた筋パワー)と瞬発力(敏しょう性)を発揮することが私の競技の目的でした。遅筋が発達する持久走などのトレーニングはあえて避けていました。

2004年6月6日、陸上・日本選手権女子ハンマー投げ決勝で投げる室伏さん。アテネオリンピック出場をかけた代表選考会で、大会新記録で初優勝した

昨今、実に様々な運動方法があります。有酸素運動の代表としてはランニングがポピュラーですが、全身や特定の部位に対して負荷を与えて、筋力や筋パワー、筋持久力などの骨格筋機能の向上を主眼とした「レジスタンストレーニング」も効果的な手法です。このトレーニングの指導者や実践する人が増えています。

特殊な器具を使って自身の体と器具とのバランスを取りながら操作するなど、本当にたくさんのツールが出てきました。その流行に乗って、色々と始めてみたけれど、続けるのが少しつらくなったり、楽しみ方が分からなかったり、最終的に続けられなくなってしまった、という方もいるでしょう。運動負荷をどれくらいかけると継続するのにちょうどいいものか、その手ごたえをつかんでおく必要があります。

まずは、運動の基礎となるランニングと自分の体重を使った自重トレーニングからゆっくり始めてもいいと思います。ランニング15~20分、腹筋運動や背筋運動、その場で深くしゃがみ込むスクワットなど、「基本的な動作」ができるかどうかが、実は一番大切なのだと思います。

「なりたい自分」の目標設定とトレーニング効果を得る方法

運動を習慣づけるための、大切なポイントがあります。それは、「いつから」「何を始めて」「いつまで続けて」「どんなふうになりたい」といった具体的な目的や目標を決めておくことです。そうすると、一つの目標に到達するまでに、今どんなことができているか、日々比較していけますので、運動が継続しやすくなると思います。自分の体力レベルに合わせながら、少し頑張れば「今日からでも、毎日できそうだ」と感じる、無理のない目標を決めて運動を実践していくのが好ましいと思います。

トレーニングの効果を得るためには、その原理と原則を知っておくことも、自分に合った運動方法を見いだすヒントになると思います。

トレーニングの原理には三つあり、3大原理といいます。日常生活で動いているときよりも、高い負荷でトレーニングを行うことで効果が表れる「過負荷の原理」、トレーニングで得られた運動効果はトレーニングを止めてしまうとなくなる「可逆性の原理」、そして、トレーニングの効果は、トレーニングをした部位や動作に効果が表れる「特異性の原理」です。

トレーニング効果を得るための原則は五つあります。徐々に負荷をあげていく(漸進性の原則)、全身をバランスよくトレーニングする(全面性の原則)、目的を明確にしてトレーニングする(意識性の原則)、自分に合ったトレーニングをする(個別性の原則)、トレーニングは継続的に行う(継続・反復性の原則)。

急に刺激の強い運動を始めるのではなく、無理なく運動を続けるためにも、このような原理・原則を生かして実践してみましょう。

体のケアも大切!柔軟性のチェックもしてみよう!

運動を続けるためには、身体機能を整え、高めておくことがとても大切です。筋肉の柔軟性を高めたり、体の主な関節の安定性を保ちながら動く範囲を広げたりすると、運動効率の向上やスポーツ障害の予防に役立ちます。

最後に、日々行っているワークを2種類紹介します。足首、太ももの前(大腿四頭筋)と、太ももの裏(ハムストリングス)3か所のストレッチは、腰痛予防にもとても効果的です。体と心の充実、楽しさが実感できる運動習慣が身につきますように、期待しています。

(C) attainment Co., Ltd

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筆者:室伏 由佳 / むろふし ゆか

室伏 由佳 / むろふし ゆか

1977年、静岡県生まれ・愛知県出身。株式会社attainment代表取締役。2004年アテネオリンピック女子ハンマー投げ日本代表。円盤投げ、ハンマー投げ2種目の日本記録保持者(2017年9月現在)。12年9月に引退。アスリート時代には慢性的な腰痛症などスポーツ障害や婦人科疾患などの疾病と向き合う。現在、上武大学客員教授、朝日大学客員准教授など、複数の大学において非常勤講師を務める。スポーツと医学のつながり、モチベーション、健康等をテーマに講義や講演活動を行っている。
ウェブサイトは、http://attainment.jp/

記事提供:ヨミドクター(読売新聞)

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